第2回 架け橋としての第一歩

オフショア開発のきっかけ

今から10年程前、日本の企業が東南アジアに向けてオフショア開発を依頼するという動きが活発になってきました。当時の主な開発の発注先は中国でした。その頃はまだ、ジーネクストはアジアに関心を向けていませんでしたが、もし積極的にオフショア開発の拠点について考える時が来るならば、それはわたしの母国ベトナムしかないと、わたしは思っていました。

そして2006年、その想いを実現できるかもしれないチャンスが舞い込みました。ジーネクストが、元々持っているパッケージを利用することができない、あまり経験したことがないシステム開発の依頼が入ってきたのです。しかも、その時のジーネクストの人員体制では、対応が難しそうでした。そこで、わたしはこの案件を海外のソフトウェア開発会社にアウトソーシングすることを提案しました。

来日してからずっと、わたしには日本とベトナムの架け橋になるような仕事がしたいという夢がありました。ジーネクストに入社する際も、この会社であればこの夢をビジネスで実現できるのではないかと思っていました。
夢の第1ステップとして、そのタイミングが来た気がしていました。

ちょうどベトナムでは、日本での学生時代に一緒に色々な活動していた先輩がソフトウェア開発会社を設立し活動を始めていました。
その方と、いつかビジネスにおいても一緒に活動できることをずっと考えていたこともあり、わたしとしては、当然アウトソーシング先としてベトナムを一番に推したのです。

最終的に、アウトソーシングの許可が下りた時、わたしはとても嬉しかったです。
しかし、提案をしたものの、本当に成功できるかどうかという不安な気持ちと、必ず成功させたい気持ちとが入り混じり、とても笑顔にはなれず、すごく真剣な表情しか作れないまま、決定の話を聞いていたことを覚えています。

オフショア開発について

ここで、日本の企業が海外へのオフショア開発を依頼する場合の多くの理由を挙げてみたいと思います。

  • 人的リソースが不足している
  • 国内開発よりも低コストで開発したい
  • 自社として将来、海外進出したいと考えている

まさに、ジーネクストが初めてオフショア開発をしようとした状況は、この3点すべてに当てはまっていました。

当時、オフショア開発にフォーカスしていた企業のほとんどは、アウトソーシングの主な目的を、人件費を含めた開発費用全体の「コストの削減」としていました。しかし現在では、アジアグローバルでの人財流動の中、日本国内ではIT人財がリソース不足になっており、その「IT人財のリソース不足」を技術力の向上したベトナム人技術者が補うことができています。
そして、そのことが、オフショア開発を選択するメインの理由に変わってきていると感じています。但し、当時より人件費は上昇していますので、コストメリットは下がっているという傾向もあります。

オフショア開発の動きの初期から現在に至っても同じですが、オフショア開発は、「成功」か「失敗」か、とても明確に分かれます。
大きな要因もたくさんあるのですが、下記のような小さなギャップを埋められず、失敗となってしまったことも多いようでした。

  • ベトナム人の気質として、「できない」という事を恥ずかしいと感じるので、「できそうもない」状況になってもギリギリまでそのような申告がない。
  • 「ホウ・レン・ソウ」の教育が行き届いていないため、電話での伝言が不在の人にキチンと伝わっていなかったりする。
  • 時間の感覚が大ざっぱなため、「明日、連絡します」という約束に対して、何時かというところまで確認しなかったため、時間感覚のずれが起きてしまった。

わたしが初めてベトナムへオフショア開発としてアウトソーシングをした案件は、結論からいうと、成功をしました。
成功を収められた要因は2つあり、それはこのプロジェクトだけでなく、多くのオフショア開発にも当てはまる要因であると実感しています。
この「2つの要因」については、初めての案件の話の中で紹介していきます。

初めての案件の始まり

ジーネクストとしても、わたし自身としても、はじめてのプロジェクトがスタートしました。
いくつかの失敗例を見聞きしていたため、様々な方面に繊細な心配りをしながら進める必要があるという事は、始まる前から感じていました。
わたしはこの案件で、ジーネクストと先輩の会社との連携を重視して行動しました。つまり、ブリッジSEとしてのまさに言葉通り、架け橋を担った訳です。

日本で社会人生活を始めたため、当時のわたしは、ベトナム人と一緒に仕事をしたことがありませんでした。ですので、このプロジェクトのスタート時、わたしは「日本のビジネスマン」として、ベトナムへ行きました。
まずは、日本のビジネスのやり方、マナーなどを教えることからスタートしました。

(続く)