第1回 わたしが日本で働く理由

日本の文化との出会い

皆さまこんにちは、はじめまして、トランソンと申します。
ベトナム出身で、2000年に国費留学生として、日本に初めて来ました。
現在、ジーネクストに所属し、設立から関わっているヴィーネクストでは副社長を務めています。
このコラムでは、ベトナムから見た日本、日本から見たベトナム、双方から見た文化の違いやビジネスに関する考え方の違いなど紹介していきたいと思っています。

このコラムを担当することになり、なぜ自分は日本という国を選択して留学し、そして現在仕事をしているのか振り返ってみました。

わたしの最初の日本についての思い出は、小学生の時に、父が日本で買ってきた演歌のカセットテープです。とてもお気に入りで、毎晩そのカセットテープを聞きながら寝ていました。再生する機器も日本の家電メーカーのものでした。また、友達と日本製のテレビゲームで遊んでいました。
そのようにして、わたしは日本の文化に触れ、興味を持ち、特に最新の技術で作られた電化製品を大好きになりました。
そして、20歳の時に、国費留学生として海外で勉強するチャンスがおとずれた時、わたしは迷わず留学先として日本を選択しました。
東京外国語大学で1年間日本語を勉強して、それから東京大学へ入学しました。東京大学では、最先端の電化製品へのあこがれから、半導体の研究をしていました。

大学3年生の時、まだ2名しかいなかったジーネクストで、アルバイトを始めました。せっかくアルバイトをするなら自分の研究の役に立ちそうなシステム会社でと思ったからでした。その当時のジーネクストは、ファイルメーカーを使って、電話とPC関係を連携させるシステムを開発する仕事が中心でした。

日本のビジネスの面白さ

2005年、わたし自身にとって、転機となる出来事が起きました。
ジーネクストのメンバーとしてアルバイトながら、ファイルメーカーカンファレンスに行くことになったのです。開催場所は、アメリカ合衆国アリゾナ州フィニックスでした。

そこで、今まで研究者として過ごそうと思っていたわたしはビジネスの世界に目を向けることができ、またその面白さに気付きました。
カンファレンスにおいて、自分が作ったプラグインの紹介・販売を行いました。自分が作った商品に対して様々な評価を、直接、受けることができました。良い評価・良くない評価、どちらにしてもお客さまから即座に反応が返ってくるということはとてもエキサイティングな体験でした。
それは大学での研究とはまったく違う感覚でした。

研究では、長い時間をかけて、様々に積み上げていったものをある程度まとまった段階で、成果として発表します。その積み上げたりまとめてたりしている時間を私は自分自身とだけと向き合っているというようなイメージで過ごしていました。

しかし、ジーネクストでの数年の体験と、カンファレンスで後押しされたビジネスの感覚は、非常にスピーディなものでした。たとえば、お客さまに何かを提案した場合、すぐお客さまの反応を感じることができます。良い反応の場合は進行がさらに早くなりますし、良くない反応の場合は、どこがよくなかったのか、どう改善すればいいのか、すぐ考え、判断することができます。そのスピード感は、自分が今までに味わってことがないものでした。
また、そのやり取りのプロセスにおいて、様々な人と会話し納得しあうことも非常に興味深くかつ楽しいことでした。

ベトナムでは、チャンスがある限り高い学位を目指すのが当たり前という風潮です。
しかし、わたしは学位だけではビジネスが向上しないということを学んでいきました。わたしという人間が何を作り、何を相手に伝えられたかは、もちろん重要ですが、様々な人々との協力や連携も大きなポイントとして、自分自身を評価してもらえるという視点を知ることができました。これはベトナムにずっと留まっていたら、気が付くことができなかった考え方です。

想いを整理しなければならない時が来ました。研究者として進んでいくか、ビジネスマンとして新たな道を選ぶかです。アメリカからの帰国後は、迷う日々が続きました。結果的に、ジーネクストに入社することを選んだのですが、それを後押ししたのはある2点があったからでした。
まず、自分の元来の考え方ややり方が、日本のビジネスにフィットしている気がしていましたし、その面白さにも先ほど書いたように気づきました。
そして、もう一つの大きな決定打は、ジーネクストに入れば、自分は自由に成長することができると感じていたことです。横治社長と一緒に仕事をしていると、伸び伸びと考えることができます。「この人と一緒ならなんでもやっていける!」という確信をひそかに持っていたのです。

正社員として入社して10年、ジーネクストで扱う製品は移り変わっていますが、ビジネスの面白さは加速するばかりです。
自分が入社前に確信した通り、ジーネクストでは常に新しいチャレンジを続け、会社の成長とともに、自分自身も成長し続けることができていると実感しています。

(続く)