Vol.06 すべては分かち合うためにある?

お寺へのご招待

「明日、お寺へ寄付をするので皆を食事に招待します」
社員の1人に言われた時、頭の中がハテナマークでいっぱいになりました。
「なぜお寺へ寄付をすると、皆を食事に招待してくれるの?」と他の社員に聞いても、「それは、お寺へ寄付をするからです」という禅問答のような答え。話しぶりから、ミャンマーでは一般的なご招待ということだけはわかったので、とにかく行ってみる事にしました。

翌日、社員全員で、案内された近くのお寺へ。お寺の中に、食堂のような場所があり、そこにたくさんの人が集まってご飯を食べていました。私たちも席に案内され、ごはんやおかずをどんどん勧められます。集まっているのは、招待してくれた社員の家族や親戚、友達や職場の人のようです。

食事をしながら詳しく話を聞くと、今回、お寺に寄付をしたのは家族の誰かが亡くなってから何年か経ったので…という理由だそう。
そうか!これは日本でいう法事のような行事なんだ!と、ようやく納得がいきました。

「私たちもお寺に寄付を持って行った方がいいのかな?」「ごちそうしてもらうということは、お返しに何か持って行った方がいいかな?」と、前日からあれこれ心配していた私ですが、招待される人は何もしなくて大丈夫と言われ、デザートまでごちそうになって帰ってきました。

日本で法事といえば、身内で行うものですが、ミャンマーでは、多くの人を招待するのは当たり前のようです。また、誰かが亡くなって何年か経ったから、という理由でなくても、何かにつけてお寺へ寄付をして、その時に周りの人を食事に招待する、ということはよくあるそうです。

会社が入っているビルの同じフロアに入っているビューティサロンから、お坊さんを呼んで寄付をするので食事にどうぞ、というご招待がきた事もあって、かなり遠い関係でも呼んでくれるんだ、と驚きました。

周囲の人に分け与えると、自分にも良いことがある、というのがミャンマーの人の考え方のようです。

ごはんもおやつも何でもシェア!

そういえば、会社のランチタイムも、自分のお弁当だけ食べている人はいません。皆、おかずをシェアするのが当たり前のようで、自分のおかずを他の人のご飯の上にかけてあげたり、他の人のおかずをスプーンでちょいっと取ったりしています。

同じ釜の飯を食べた仲…と言いますが、人と人との距離感が、日本人同士のそれよりも近く感じるのは、こんな風に皆で同じものを食べる習慣から来ているのかな?とも思っています。

また、ミャンマーのレストランでは、頼んだもの以外に、無料のおかずが出てくるところがあります。これは、儲かっているお店が利益をお客さんにも分かち合うということで行っているサービスだそう。会社近く、いつも人でいっぱいのミャンマー料理店では、無料の野菜盛り合わせ、スープ、デザートのヤシの実で作ったお砂糖が出てきて、スープがなくなるとおかわりまでもらえます。
レストランに入って、無料の品が出てきたら、そこは繁盛店ということなので、当たりということですね。

分かち合いは文化

さて、先日ミャンマーでは、洪水被害がありました。被災者が100万人にものぼる大規模な災害です。洪水被害の後の給料日、社員たち集まって何かしていました。何をしているのか尋ねたところ、社内で洪水被害への寄付を集めているとのこと。社員全員が寄付をし、最終的には新人スタッフ1人分の月給くらいの寄付が集まりました。全員が、もらった給料の1割程度を寄付している計算です。集めた寄付は、公的機関に代表者が持って行くのだそうです。

寄付やチャリティは、ミャンマーでは一般的で、皆、特別な事がなくても、お寺に寄付したり、道を歩きながら何かの寄付を募っている人たちにお金をあげたりしています。
洪水被害の時には、チャリティライブや、写真のようにお揃いのTシャツを着て寄付金を集めている学生さんなどを数多く見かけました。

恥ずかしながら、給料の1割を貯金したことはあっても、給料の1割を寄付したことなどない私。
困っている人がいれば、自分の分をシェアするという習慣が染みついたこの国の人達を、とてもまぶしく感じた瞬間でした。

ミャンマーに来た当初、住んでいる家のドアを開けると、隣の人の洗濯物が悪気なくデーンと干してあったり(うちの前なのに〜!)、会社が入っているコンドミニアムの廊下や階段に、かなり大きな家具やロッカー、家族全員分のサンダルが自由に置いてある(共用部なのに〜!)事に驚いたものです。

しかし、この分かち合い文化を知るにつれて、ミャンマー人は、自分の場所、人の場所、という考え方をあまりしないのかな?と思うようになりました。

良くも悪くも、持っているものは分かち合う。なんでもかんでもシェアしちゃう! これがミャンマーという国のようです。