Vol.04 ミャンマーは赤ちゃんが正義の国

赤ちゃん大好きミャンマー人

大人だけならなんとか乗り切れる…という事も、赤ちゃん連れだと難しくなるのは日本でもミャンマーでも同じ。とりわけ、便利で安全で清潔な日本から、まだ発展途中のミャンマーにやってきた新米母にとっては、ままならない事が多すぎて日々必死です。
それでも、なんとか頑張れているのは、赤ちゃんが大好きなミャンマー人に助けられているからに他なりません。

ミャンマー人は基本的に心優しくて人が良く、世話を焼くのが好きな人たちです。
そして、他人に興味がある事を隠しません。

そんな国民性のミャンマー人が、赤ちゃん(しかも外国人)と出会うとどうなるか?
とにかく大注目して大喜びし、それはもうチヤホヤしてくれるのです。

街中でも、ビルのエントランスでも、赤ちゃんを抱っこして歩いているだけで微笑まれ、『チェセヤベービー!』と声をかけられます。

『チェセヤー』というのはミャンマー語で『可愛い』という意味ですが、あまりにも沢山言われるので、挨拶の次に覚えてしまいました。

赤ちゃん連れは大歓迎

息子を連れてレストランに入ると、店員さんが両手をパチパチとたたいて広げるポーズをします。これは『赤ちゃん抱っこしてあげる』というジェスチャーのようです。

おそるおそる息子を預けると、抱っこして店中を連れ回り、他の店員さんも集まってきてほっぺにチュッとしたり、いないいないばあをしたり、下へも置かぬ大歓迎。
(ただし、その間は私達の注文を取ったり、お皿を下げたり、という本来の仕事は忘れられています)
息子が私たちのところに戻ってきた後も、側を通るたびに手や足をぺたぺた触り、最後は満面の笑みでお見送りです。

庶民的なお店だけでなく、ダウンタウンにある高級ホテルのラウンジでも、スタッフの方は同じ反応で、息子を抱っこして連れ回ってくれました。
(こちらはさすがに自分の仕事はおろそかにせず、抱っこしたままテキパキ電話に出てゲストの対応をしていました…って、それアリなんですね?!)

息子が泣いた時ですら、『おーおー、帰りたくないんだよなー!』と店員さんが駆け寄ってきてくれるし、隣の席のミャンマー人は、なぜか泣いている息子を笑顔で写真に撮っているし、日本で母業をやっていた時の(公共の場所で赤ちゃんを泣かせてはならない。周囲に迷惑をかけてしまう)という緊張感を感じる場面は一切ありません。

他人の赤ちゃんに勝手にキスしたり、触ったりするのは、私の感覚ではちょっと驚きでしたが、あまりに普通に行われるのでもう慣れっこになってしまいました。

ちなみに、ある店に夫が一人で通っていた時は、『ミャンマー語が分からない面倒な人が来た』という雰囲気で、なかなか注文を取りに来てくれなかったそうです。
それが、赤ちゃん連れで通うようになってからは、夫一人の時も『赤ちゃんのお父さんが来た』と、すぐにニコニコ注文を取りにきてくれるようになったとか。

この国では、赤ちゃん連れはまさに正義なのです。

赤ちゃんに厳しい環境…でも?

こんな赤ちゃんに優しいミャンマーですが、赤ちゃんに優しい設備が整っているかというとそうではありません。
ヤンゴンでは、高級ホテルですらオムツ替え台がある多目的トイレはありませんし、授乳室なんていうものもありません。

歩道はデコボコで、写真のように突然穴があいていたりするため、ちょっと外を歩くのにも常に緊張感があります。

乾季は40℃近い気温のため、暑すぎて赤ちゃんには厳しいし、雨期はデング熱などの病原菌を持った蚊が大量発生。さらに、ミャンマーの医療は30年遅れていると言われており、赤ちゃんが病気にかかったら…と思うと心休まる暇がありません。

安全で安心、清潔で設備も整った日本が恋しかったのですが、ビザ更新のため一時帰国した時に感じたのは『あれ?私たちって透明人間だったっけ?』ということ。
なんと、ミャンマーでチヤホヤされ過ぎて、赤ちゃん連れにさほど興味を示さない日本が、物足りなく感じるようになってしまったのです!

未だに緊張の日々ですが、赤ちゃんという存在が無条件に愛され喜ばれるのは、とても幸せな時間です。ふと気づくと、ミャンマー人のように赤ちゃんを見るだけでニコニコしている自分がいるのでした。