最終回 移り変わるヤンゴン

出前に持ち帰り、ヤンゴンは中食天国

おか持ちを持ったお蕎麦屋さん、ピザ屋のロゴが入った宅配バイクは、日本で見慣れた光景です。お店に直接電話するだけでなく、インターネットを使って、様々なレストランのメニューを配達してもらえる便利な日本ですが、実は、ヤンゴンにも同様のサービスがあります。

いえ、もしかしたら、出前文化では、ヤンゴンの方が便利かもしれません。特に『出前します!』とアピールをしていないお店でも、近所なら電話すれば持ってきてくれるところが多いのです。会社のお昼時になると、ランチの出前の人がドアをトントンとノックしてやってきて、注文した社員がお金を払っているのは日常の風景です。

また、ヤンゴンはお持ち帰り天国でもあります。道端の屋台から、高級なレストランまで、すべての飲食店は持ち帰りを前提としていると言っても過言ではありません。お持ち帰りは、ミャンマー語で『パセ』と言います。持って帰りたいものがあれば、「パセ」と伝えれば、すぐに包んでくれますし、街中では、ビニール袋や発泡スチロールの容器にテイクアウトの食事を入れて持ち歩いている人をよく見かけます。ミルクティーや、スープなどもビニール袋に入れてくれるのには驚きましたが、今ではすっかり見慣れてしまいました。

アプリで注文、自転車での出前サービス

そんな宅配・お持ち帰り文化が浸透しているヤンゴンで、私が愛用しているのは、Yangon door2door(ヤンゴンドアツードア)というサービスです。様々なレストランの料理をスマートフォンのアプリやウェブサイトから注文することが出来、注文した料理は、自転車に乗ったYangon door2doorの人が指定した場所まで届けてくれるというものです。
渋滞が多いヤンゴンで、わざわざ出歩かなくても食事を届けてもらえるのはとても便利です。登録されているレストランの数も150店舗を超えており、ミャンマー料理、インド料理、タイ料理、西洋料理や日本料理、カフェ飯など、レストランのジャンルも多岐に渡ります。

黄緑色の制服を着て、ヘルメットをかぶり、輸入物の自転車に乗ったYangon door2door の宅配ボーイは、今や街中のいたるところで見かけるようになりました。
注文した後は、アプリ上で、注文の状況がどうなっているか、今、自転車がどの辺りを走っているか、というのも確認することが出来るため、安心感もピカイチです。

以前は、Yangon door2doorだけがこのようなサービスを提供していたのですが、現在では、同じような自転車宅配サービスが他にも登場して、数社がしのぎをけずっている状態です。

2015年から今までの変化

2015年にヤンゴンに来た時に、ちょうどこのYangon door2dodrのサービスが始まったばかりだったのを覚えています。

その当時、このサービスのウェブサイトにアクセスしようとすると、インターネット回線がとても遅く、ページを読み込むのにかなりの時間がかかっていました。ようやくページが読み込めたと思ったら、登録されているレストランは3、4店舗だけという状態でした。

少ない店舗の中から、日本から進出したばかりのハンバーガーチェーンを選び、インターネット回線の遅さにやきもきしながら、ハンバーガーセットを注文しました。
届いたハンバーガーは、味付けがチリソースで、ポテトにもケチャップではなくてチリソースがついてきたのを昨日のことのように思い出します。
レストランの種類も少ないし、回線の遅さから注文に時間がかかってしまうし、このサービスは普及しないだろうな…と感じていました。

しかし、2018年現在、ヤンゴンのインターネット回線の速度は、格段に早くなりました。今では、ストレスなくアプリを読み込み、たくさんのレストランの中から料理を選ぶのもスムーズです。
物珍しかった自転車宅配ボーイ達も、もはや日常の風景となりました。

当時注文していた日本のハンバーガーチェーンはその後撤退し、代わりにアメリカのハンバーガーチェーンが進出してきました。ポテトにはちゃんとケチャップが付いてきますし、味付けも本場そのものです。

3年前を思い出し、色々な事が変わってきたのだな…と、ふと考える事があります。きっと、Yangon door2doorのサービスも、「このまま続けられるのか」という時期があったのではないだろうか、と想像しています。

私たちも3年間、ヤンゴンに暮らし、同じように、様々な時期を乗り越えてきました。大きく変わりゆくこの時期のヤンゴンを見つめてこられた事を、とても嬉しく思っています。