Vol.33 ヤンゴンは、再び東洋の真珠となれるのか

ヤンゴンはゴミの街?

写真ではお伝えできないですが、ヤンゴンの街を歩くと、「なんだか臭い…」ということにすぐに気づきます。周囲を見渡すと、この臭さの原因はすぐに分かります。とにかくポイ捨てされているゴミが多いこと。そして、それらのゴミは水路にも溜まっていて、水をせき止め、濁らせ、腐らせ、異臭を放つ原因となっています。

街中にある公共のゴミ捨て場も、特にゴミの日が決まっているわけではなく、毎日誰でも捨て放題なので、ゴミ収集車が回収に来るまでの間は、ゴミが溢れかえっていて、近くを通る時は、あまりの異臭に息を止めてしまうほどです。

それでも、ゴミ捨て場にゴミを持っていくという行動をとるのであれば、まだ良い方です。コンドミニアムとコンドミニアムの間のスペースや、建物の裏側などには、上階から投げ捨てられたゴミがうず高く積み上がっているのをよく見かけます。簡単に除去できるレベルではなく、ゴミが地層のようになっている場所もあります。

私が初めに住んだ家の裏庭も地層のような状態になっていたので、恐ろしくて裏庭に通じるドアは1度も開ける事が出来ませんでした。異臭とそこから発生する虫を避けるため、のちにそのドアは開かないように埋めてもらったほどです。

綺麗なことは良いことだ、と知らないわけではない

ミャンマー人は、他人に優しく親切な国民性であることは日頃から感じていますが、ことゴミに関してはまったく気にしないのだな…と驚きます。しかし、家の中を覗いてみると、きれいに掃除をしているし、ゴミだらけということはないのです。

日々観察していると、公共の場所が汚れていたり、汚したりすることは気にしないのだ、ということに気づきました。道端やコンドミニアムの裏庭、また電車の窓からも、みんな気軽にポイ捨てをしています。同じコンドミニアムでも、部屋の中はきれいにしているのに、共用部の廊下にゴミを掃き出して、それで掃除はおしまい、という光景も見かけます。「コンドミニアムの共用部は、管理人が掃除してくれるから気にしない」「道端は、誰かが掃除するでしょ」という感覚なのです。

ちなみに、コンドミニアムやアパートの間に溜まったゴミは、ヤンゴン市清掃局が1年に1回掃除に来るそうです。この清掃代金は、住民が負担するのですが、1階に住んでいる人がすべて負担することになっているそうです。ゴミを投げ捨てるのは上階の人、汚れて迷惑を被るのは1階の人、清掃代金を負担するのも1階の人…というなんとも理不尽な仕組みです。上階の人は、自分の家の中のゴミが外に出ればいいので、清掃後も、引き続き気軽にポイ捨てをする、というわけです。

例外はパゴダ(お寺)で、有志が集まってお掃除をしているのも見かけますし、ゴミをポイ捨てしているのも見た事がありません。
ということは、「きれいな状態は良いことだ、汚い状態は悪いことだ」という感覚はミャンマー人にもあるということ。

昔の日本も、山手線の中でタバコを吸ってポイ捨てするような時代があったと聞きますから、ミャンマーの人々がゴミをポイ捨てしない未来だって夢ではないと思います。

お掃除は街の未来を動かせるのか?

元々、ヤンゴンは美しい街だと思います。緑が多く、黄金のパゴダがそこかしこにあります。英国植民地時代のコロニアル様式の建物が、東南アジアの街並みの中に溶け込んでいる風景も、私は大好きです。ヤンゴンは、その美しさから、『東洋の真珠』と呼ばれた時代もあったそうです。(その頃もゴミはあったのかもしれませんが)

ゴミを捨てない、公共の場所を大切にする、という意識は、これからのミャンマーが教育の力で作っていくべきものだと思いますが、外国人である私たちが出来ることもあるはず…と考えていた時に、ある活動を知りました。

ヤンゴンで家事代行サービスの会社『HerBEST』を営む日本人女性が、『Clean Yangon Green Yangon』と銘打った、「ヤンゴンの街のゴミ拾いをしよう!」という活動を継続して行なっていたのです。

「お掃除は、人の心も綺麗にする。国籍や宗教などの立場を超えて、ひとりひとりの小さなゴミ拾いが、ヤンゴンという街の未来を動かしていく」というコンセプトに深く共感し、スケジュールが合えば、家族で参加しています。

ゴミ拾いをしていると、ミャンマー人がゴミ拾いの様子をスマートフォンで撮影して「写真を撮ったよ!」と声をかけてくれたり、欧米の方が「街をきれいにしてくれてありがとう」と言ってくれたりして、嬉しい気持ちになります。
そして、ゴミを拾い終わった後は、気分爽快!きれいになった通りを見て、「良いことしたから、何か良いこと起こりそうだな」という満ち足りた気持ちになります。

「『誰かが掃除するでしょ』の『誰か』に、自分がなるって、とっても気持ちいいことなんだよ!」ということが、外国人である私たちがゴミ拾いをしている姿を見て、ミャンマー人にも伝わりますように。 そして再び、ヤンゴンが東洋の真珠と呼ばれる日の訪れに、私も貢献したいな、と思うのでした。