Vol.21 どうなる?ヤンゴンの交通事情

ヤンゴン市内の大渋滞

会社からダウンタウンにある銀行までは、距離にして10km、道が空いていれば20分ほどで到着します。しかし、ヤンゴンの渋滞はとてもひどく、その銀行にたどり着くのに、1時間以上かかるのが当たり前になっている今日この頃です。
しかも、蒸し暑い気候の道中、運良くエアコンが効いているタクシーをつかまえられれば良いのですが、エアコンが壊れたタクシーにうっかり乗ってしまうとたいへんです。

ミャンマーのタクシーは、ライトバン型の荷物運搬用の車種が多いため、乗り心地が良いとは決して言えません。さらにガタガタの道路を走るため、乗っているとお尻が痛くなってきます。そこにエアコンが効いていないとなると、窓を開けても熱風が入ってくるため、修行僧のように心を無にして1時間の道のりを耐えるしかありません。

それでも、タクシーは、他の人が乗っていないだけマシな方です。これがバスともなると、乗り心地が悪く・エアコンが効いていないうえに、人がぎゅうぎゅうに乗り合い、荒い運転に揺られることになるのです。加えて大渋滞…社員の皆も、通勤には平均で1時間以上の時間を使っていますから、毎日大変なことだろうな、と思っていました。

渋滞の原因とは…

なぜこんなに渋滞がひどいのか、その原因は暮らしてみるとすぐに分かります。
自動車教習所で、運転中の危険を体験するシミュレーターをやったことがある方も多いと思いますが、現実がその『シミュレーター』のような感じなのです。

歩行者は、大人も子供も横断歩道ではなく道を好きな場所で渡るため、車に乗っていると、人が左右から飛び出してきます。通行を禁止されているはずの自転車やバイクも最近増えてきて、道路の端ではなく、センターラインを走っています。見ているとこちらがヒヤヒヤしてしまいます。

車の方は、人や自転車を避けながら走るため、基本が蛇行運転です。
少し道が混んでいるなと思ったら、急にUターンして横道に入ったり、センターラインを超えて反対車線を逆走し始めたりするなど、運転マナーがまだ未成熟だと感じます。

特に運転マナーが悪いのは路線バスで、様々な会社が同じ路線を走っているため、バス停にはバスが溢れていて、これもまた渋滞の原因です。お客を取り合うため、客引き同士で喧嘩になっている様子も珍しくありません。コスト削減のために、古い古い車両を使っている会社も多く、故障したバスが道の真ん中に停車しているのも何回か見たことがあります。

また、ミャンマーでは、自動車は日本とは反対の右側通行なのですが、走っている車は、ほとんどが日本からきた中古車で右ハンドルなのです。そのため、道を曲がるときなど、対向車が来ているのか見るためには、運転手が体をぐーっと乗り出す必要があり、運転しにくいだろうなぁ、と感じます。

それに加えて、道路もまだまだ整備されていないし、信号システムは手動だし、路上駐車は多いし、歩道からは路上営業の飲食店が車道まではみ出しているし、移動式の屋台が道を横切っていくし、車の数はここ数年で爆発的に増えているし…と、渋滞にならない原因を探す方が難しい状況なのです。

渋滞解消、政府の政策

政府も、このような状況を重く見ていたのか、最近2つの政策が始まりました。

1つ目は2017年から、右ハンドルの車は、輸入を制限し、左ハンドル車のみ輸入を許可するというものです。

たしかに、自動車が右側通行で右ハンドル車は危ないので、これは当然の流れのように感じます。現在のヤンゴン市内を走っている車を見ると、ほとんどが日本の右ハンドルの中古車です。新車を買える人はまだまだ多くないため、これらの輸入が制限されると一般の人はどうなるのか?と状況を見守っています。

2つ目は、ヤンゴン市内のバスは、民間の会社を排除し、市バスのみにするというものです。300あった路線も60に減らされ、また、古い年式のバス車両は使用してはならないことになりました。

たくさんあったバス会社がなくなるわけですから、バスの台数と路線だけが減って、それを必要とする乗客の数は変わらないということになります。

この政策が実施された初日には、各所で混乱が起こったようです。社員の皆も、 「待っていてもバスが来ませんでした」「いつものバス停に停まらなかったので途中から歩いてきました」「バスが来たけれど、人がたくさんで乗れませんでした」「乗客が多すぎて窓から乗りました」と口々に話していて、遅刻してきた人も数名いました。

また、古いバス車両が禁止されるということで、すべてのバスが新しいエアコンバスになるのかと思っていたのですが、「古いバス車両の看板だけ変えて走っていました」という証言があったので、そこは徐々に入れ替えしていくのでしょう。

道路も、バスに乗れなかった人々がタクシーを拾ったり、バス停に人があふれたりしたため、いつもより渋滞していたそうです。

大胆な政策で果たして交通事情が変わるのか…銀行まで、せめて40分で到着するようにならないかな、と願っている私です。