Vol.02 人の良さに溢れるミャンマーの国柄

いきなりの絶望とミャンマー人の国民性

初めて自分が住む家のドアを開けた瞬間、私は絶望に襲われました。
ソファは土埃で真っ黒になっていて、さらに床も黒い埃が散らばっている…と思ったものは大量の小さな虫!

ぎゃーーー!!なぜ?!部屋の中なのに…。

よく見ると、ドアの下・窓枠・壁は隙間だらけ!そこから大量の土埃と虫が入ってくるそうです。夫曰く、最初の状態はもっと酷く、これでも網戸をつけたり穴埋めパテで隙間を埋めたりした後だとか。
その他にも、電気の配線が細すぎて焼き切れたり、水が止まったり、数えきれないトラブルがあったようです。ちなみに、息子をお風呂に入れようと、蛇口をひねった時に出てきたお湯は茶色でした…。

前回のコラムでも書きましたが、この物件は新築です。いやいや、どう見てもロクにメンテナンスがされていない築50年物件にしか見えないんですけど!

そして、夜になると「キュキュキュキュ〜」という恐ろしげな鳴き声が。声の主は、この部屋に住むヤモリでした。写真のヤモリとは現在も同居中です。
こんな部屋でも、月額にして、こちらの大卒の初任給のおよそ9ヵ月分のお家賃がします。それだけ、急速に発展が進み、進出する人や企業が増え、外国人が住めるような住宅が足りていないのです。

住宅事情だけ見ると、着いた瞬間に日本に帰りたくなりそうなミャンマーですが、それを補って余りある魅力があるのです。例えばその魅力は、ミャンマーのタクシーに乗った時にも感じられます。

ミャンマーのタクシーにはメーターがありません。目的地を運転手に告げて交渉するのです。ちょっと怖そうですよね?
でも、このシステム、渋滞でも遠回りでも関係ないので、意外と安心感があるのです。外国人だからといって、大幅にふっかけてくるような事はほとんどなく、降りる時に最初に決めた料金より多く請求されたこともありません。
そして、日々タクシーに乗っているとわかるのが、驚くほど譲り合いをするということ。横断する歩行者を先に行かせたり、脇道からの車を入れてあげたり、ハンドサインやハザードランプで、運転手同士がコミュニケーションを取り合っています。

ヤンゴンを視察に訪れた時、ジーネクストの横治社長と夫は、こういったタクシーの運転手たちを見て、この国民性はシステム開発に向いているかもしれないと感じたそう。
その理由は、システム開発をする上で、『人の良さ』と『コミュニケーション能力』は、とても重要な事だからです。
チームを組んで開発を行う時、全体の事を考えて、わからない所は教え合うなど、お互いに助け合う事が大切です。また、人間が使うシステムだからこそ、作る側に、使う人の事を考える優しさや想像力が必要になります。
技術や言語はトレーニングできても、『人の良さ』というものは、簡単に得られるものではないのですよね。

仏教の国でカジュアル出家?!

この『人の良さ』は、ミャンマー人の大半が敬虔な仏教徒という事も関係しているのかもしれません。
街中には沢山の寺院があり、えんじ色の僧衣を着たお坊さんや、ピンク色の僧衣を着た尼さんをよく見かけます。
また、ミャンマー人女性は、髪を長く伸ばしている人が多いのですが、たまに写真のような坊主に近いベリーショートの女の子がいるのです。
ファッショナブルで格好良いけれど、明らかに異質。さては、最新の流行かな?!
『最近はベリーショートが流行ってるんだね』と夫に聞いたところ、『あれは出家明けだよ』との答え。出家明け…?出家に明けるとか明けないとかあるの?
わたしの感覚では、『出家』というと一世一代の決意で一生お坊さんになるためにするものだと思っていたのですが、なんとミャンマーの人は、もっとカジュアルに大抵の人が1回くらいは出家するのだそうです。

ジーネクストミャンマーにも、もちろん出家経験者が居ましたよ!
仏教徒の男性社員4名は、全員出家経験あり。女子社員でも1名、小さい頃に出家したという人がいました。毎年、お祭りの休暇の時に出家する人もいるとか。
経験者の一人、2回出家したアウン君に、どんな時に出家して、どんな事をするのか教えてもらいました。

男性の場合、7歳〜10歳くらいの間に1回、20歳になる時に1回出家するのが一般的だそうです。出家の期間は、人によりますが1週間から3ヵ月程度。

出家すると、もちろん頭を剃り、僧衣に着替えます。
朝は、5時〜6時の間に起き、托鉢して食糧調達。その後、調達した食糧で朝ご飯。
お昼の12時を過ぎると食事をしてはいけないそうですが、子供の出家の場合は、ご飯の後は自由時間で遊んでいて良いとか。ただし、音楽を聴いたり、テレビを見たりするのは禁止だそうです。大人になってからの出家の場合、自由時間はなく、食事の後には、皿洗いをしたり、お経を唱えたり、瞑想したりして一日を過ごすそう。
アウン君は、集中するために、携帯電話も家に置いて行ったそうですよ。

なぜ出家をするのか聞いたところ、『出家をすると自分に良い事があるから』という答えが返ってきました。小さい頃に一度出家した女子社員も、『体が弱くて病気によくかかっていたから』出家したそうです。
出家したら良い事がありましたか?という質問には『以前より元気になった。気持ちが良かった』とのこと。
どうやら、ミャンマーでの出家とは、願いや祈りを込めて行うもので、職業を選択するためだけに行うものではないようです。
(もちろん、職業としての僧侶は一生出家したままですが)
半日断食をして、瞑想して…たしかに心も体もリフレッシュできそうですね。外国人でも出家をすることは可能だそうです。カジュアル出家、いつかやってみようかな?