Vol.18 タジンジュ満月の夜

タジンジュ満月

10月に入ると、ヤンゴンのショッピングモールで、『Thadingyut Promotion』というセールをよく見かけるようになります。
Thadingyut(タジンジュ)とは、ちょうど雨季が終わる頃の満月の日のことで、ミャンマーの祝日です。今年は、10月16日でした。

タジンジュは、『雨安居明け』とも言われます。
雨安居(うあんご)とは、雨季のために草木が生い茂り、昆虫などが増える時期のことです。出かけることで、そういった虫たちを踏み潰して殺生をしないようにという理由で、僧侶は出かけるのをやめて寺院の中で修行をし、一般の人も引越しや結婚式などを控えることになっています。

タジンジュを境に、長かった雨季が終わりを告げ、結婚式や引越しなどが解禁になるため、ミャンマーの人にとっては、4月にある水祭りと並んで大切な祝日といえます。

満月の夜の光景

去年のタジンジュも既にヤンゴンにいたはずなのですが、そんな大切な祝日というのもまだ知らずに、夜に大規模な停電が発生して辛かった思い出しかありませんでした。
今年は、少し余裕も出てきたので、どんな風にタジンジュを迎えるのか知りたいなと思い、街の様子を観察していました。

タジンジュの1週間ほど前から、窓や玄関にカラフルな電飾を飾る家が増えてきました。クリスマスのイルミネーションのような感じです。私たちが住むコンドミニアムの1階駐車場にも、ぐるりと電飾が飾られました。
そして、タジンジュに合わせて、寄付を集めるためのイベントが開催されるのもよく見かけるようになりました。寄付をくれた人にふるまうための炊き出しが行われ、その近くにはマイクで寄付をお願いするスピーチをする人がいます。彼らの前に、寄付を入れるための入れ物があり、お札がたくさん入っているのです。集めた寄付は、僧院やお坊さんにあげるようです。

そして、当日は、家の玄関や窓枠、道の両側にろうそくが灯されました。
タジンジュは、お釈迦様が天から降りてくる日でもあり、その目印になるようにと、夜には、寺院や家での前ろうそくを灯したり、灯篭を飾ったりするのだそうです。
幻想的でとても美しい光景でした。

満月と共にあるミャンマーの祝日

タジンジュは雨安居明けの満月の日ですが、他にもミャンマーの祝日には、満月に関係したものが多くあります。
日本に住んでいた時は、満月に関する行事は十五夜くらいしか知りませんでしたが、ミャンマーのカレンダーは月の満ち欠けと共にあるようです。
いくつかのカレンダーを見比べてみましたが、必ず満月の日には、満月マークがついています。
2016年は、タジンジュ以外にも、これらの日が満月に関する国民の祝日として、お休みになっています。

5月23日(水)Tabaung Full Moon(タバウン満月)
7月19日(火)Waso Full Moon(ワゾー満月)
10月21日(土)Kasong Full Moon(カソン満月)
11月4日(月)Tazaungmone Full Moon(ダザウモン満月)

日々の生活に追われて、「あれ?今日って祝日でお休みだったんだ!」と当日になってから気づくことも多く、どんな意味を持つ日かを意識することはありませんでした。

でも、タジンジュの夜に満月を見上げ、ろうそくの明かりを眺めていると、常に駆け足しているような毎日の中で、一休みして、深呼吸をしたような気持ちになりました。
どんな風に人々が満月を迎えるのか、これからも観察して、一休みのお相伴に預かることにしよう、と密かに決めたのでした。