Vol.16 ミャンマーのお役所仕事

日本のお役所仕事は素晴らしい

日本のお役所は、形式的で不親切、非効率になりがちで、その様を表す「お役所仕事」なんて避難されるような言葉が生まれてしまうくらいです。競争にさらされて、値段やサービスなどを磨かざるをえない民間企業と比べて、お役所はそもそも存在する目的が違うのでしょうがないことですが、「もうすこし融通がきいたら良いのに」「窓口の業務時間が長かったら良いのになぁ」などと思うことが往々にしてあります。

ここミャンマーにおいても、「お役所仕事」は存在します。主に、政府の機関や税務署、政府系の銀行などで「お役所仕事」っぷりが見られます。民間企業でも、元々が国営だった企業などは、そのような傾向があります。

ミャンマーの「お役所仕事」ぶりは、日本の比ではありません。 「情報が整理されていない」「処理にとてもとても時間がかかる」「処理したことをデータで管理していないのではないかと思う場面が多々ある」「窓口に並ぶ仕組みがない」「延々とたらい回しにされる」「担当する人によってルールが違う」「誰もルールを知らないような気がする場面が多々ある」…など、ミャンマーの「お役所仕事」と付き合っていると、日本のお役所が、システマチックで効率が良く、きちんとしていたのかと思い知ります。日本の「お役所仕事」は、整理整頓されていて、ルールは明確、仕事も早い、素晴らしい「お役所仕事」だったのです。

ミャンマーのお役所仕事

以前、日本で言うとNTTのような元国営の通信会社に、事務所の光ファイバーの開通を依頼した時のことです。

「回線をひけるかどうか調べているので、今週中に連絡する」と言われたものの、当然のように連絡はありません。翌週に連絡すると、また同じ答えです。毎週電話しましたが、「今調査している」という答えばかりで、何も進みません。
とうとう事務所の名前を言うと電話をガチャ切りされるようになってしまいました。そんな対応にも負けず連絡し続けて、事務所に実際に調査に来てくれたのは、数ヶ月後でした。
結局、実際に光ファイバーが開通したのは、申し込みから半年たってからです。

それでも、「光ファイバーをひくのに半年もかかりましたよ」と別の会社の方に話したところ「えっ、半年で開通したんですか?それは早いですね!」といった反応が返ってくるのです。

また、政府の銀行では、振込をしようと思ったら、窓口に殺到しなくてはなりません。整理番号を発行してくれる機械もなければ、窓口に順番に並んでいる人もいないのです。皆、我先にと窓口に自分の用紙を出していて、自分もそうしないと、永遠に順番が来ないのです。(順番に並んだ方が絶対に効率が良くて早いのに…)と思いつつ、郷に入っては郷に従うしかありません。

お役所仕事は、税務署でも同様です。税金を支払うには、登録証が必要で、これは毎年更新しなくてはなりません。この更新も1日では終わりませんでした。

まず、窓口に行くと、「この更新の書類を書いて、社長の顔写真を2枚持ってきて」と言われたので、翌日、記入済みの書類と写真を持参しました。その際、「あとは、会社の登記簿と、あれと、これと、それのコピーが必要」と指摘され、(はじめから全部必要なものを言って欲しい…)と思いつつも、その次の日にまた出直しです。
そして、3日目に、すべての書類のコピーを持参すると、「じゃあ、申請用紙と社長の顔写真を2枚持ってきて…」と前に聞いたことがある台詞を言う担当者。2日目に、私から申請書を受け取ったことを忘れていたのです。
担当者が山積みになっている書類から、その申請書を探し始めた時、(一度持って帰ればよかった…。見つかるのかしら…。)と、とても不安になりましたが、なんとか探し出してもらい、申請が完了しました。
「1時間後に取りに来て」と言われましたが、当たり前のように1時間ではできず、結局登録証を受け取れたのは、申請から3時間後の事でした。

助けてくれるのは市井の人々

このように、お役所に行くと、かなり時間がかかってしまったり、困ったりする事が多々あります。
それでも、意外とイライラもせずに待つ事が出来るのは、基本的に皆優しいのと、助けてくれる人が必ず出てくるからなのです。

税務署の担当者は、待ち時間に私が暑そうにしていると、扇風機を持ってきて風をあててくれました。
また、どこに行けば良いのか分からずにウロウロしていると、誰かが必ず声をかけてくれて、一緒に行く場所を探してくれたりします。
納税登録証の申請用紙が、全てミャンマー語で困っていたら、同じく申請に来ていた人が、英語で何をどこに書けば良いのか教えてくれました。

初めて政府の銀行に行った時も、並んでいれば順番が来るのかと、ぼーっと立っていたら、別のお客さんが、私の振込用紙をとって、窓口に出してくれました。
振込用紙には、お金の種類と合計額、名前や電話番号を書く必要があったのですが、それもわからないでいると、私の代わりに知らない人が書いてくれて、お礼を言う暇もなく去って行きました。

ミャンマーの「お役所仕事」は、日本とは桁違いですし、外国人の私にとってはわからない事だらけです。それでも、お役所仕事がなんとか回っているのは、親切な市井の人々のおかげなのかもしれません。