Vol.15 足元から見るミャンマー

雨季のヤンゴン、足元は大洪水

日本に住んでいる時は、パンプスにブーツ、スニーカーに雨靴など、色々な種類の靴を持っていました。しかし、ミャンマーに引っ越してきてから、私の足元はビーチサンダル一択になりました。なぜなら、引っ越してきてすぐに雨季が始まり、ひとたび外に出ると、足元が写真のような状態になっていたからです。

ヤンゴンは、まだ道路の排水のインフラが整っていないため、雨が降るとそこらじゅうで浸水が発生します。しかも、排水インフラが整っていない事に加えて、水路に捨ててあるゴミが非常に多く、水路にゴミが溜まって、すぐに水があふれてしまいます。
そんなゴミだらけの水路からあふれてくる水は、当然のようにとても汚いのですが、どこかに行くにはその水の中を通って出かけなくてはなりません。

そこで、どうしても耐水性があって、汚れても大丈夫なものを履く必要が出てきてしまいます。
「レインブーツを履こうかな?」とも思いましたが、ミャンマーは雨季でも気温が30度くらいあるので、ゴム製のレインブーツを履いたら足が蒸れて腐ってしまいそう…と思い、ビーチサンダルが活躍しているという訳です。

ミャンマーの人々の足元を見てみると、老若男女問わず、1年を通してサンダルを履いている人がとても多いです。
雨季は、前述のとおり道路が浸水してしまいますし、乾季の暑さにも、やはり涼しいサンダルが最適です。また、パゴダ(寺院)は素足で参拝するため、すぐに脱げるサンダルが機能的なのです。

魅惑のミャンマーサンダル

ミャンマーの人々がよく履いているのが、ベロアのような布素材でできたミャンマーサンダルです。
男性用は、黒や深緑、えんじ色などのシックな色が主流です。
女性用は、シンプルなものもありますが、鼻緒のところにビーズやスパンコールが付いている華やかなものもあって、カラーバリエーションもたくさんあります。ぺたんこのものから、厚底のものまで、種類も豊富です。

女性は、着ている洋服の色にサンダルの色を合わせていることが多く、とても素敵でおしゃれだなぁと感じます。私も、写真のピンクのミャンマーサンダルをプレゼントでいただき、とても気に入っています。厚底のものは、鼻緒だけでなく、側面にも刺繍やビーズ、スパンコールなどがあしらわれていて、女心がくすぐられます。

なんと、ミャンマーでは、結婚式など、正装の時の足元もサンダルなのです。
ホテルでの結婚式に、何度か遭遇したことがありますが、結婚式のゴージャスな民族衣装をまとった花嫁さんの足元は、キラキラがたくさんついたゴージャスなサンダルでした。男性の正装である帽子をかぶった花婿さんの足元も、同じくサンダルでした。

ヤンゴンにある博物館で、金で作られた、昔の王様の持ち物のミニチュアを見た事があります。色々な持ち物に混じって、ちょこんと置いてあったのは、金色に輝くサンダルのミニチュアでした。「王様もサンダル履きだったんだなぁ」と、なんだか笑ってしまいました。
サンダルは、まさにミャンマーの国民的履物なのです。

地球の裏側からミャンマーへ!サンダルトレンド発信

伝統的なミャンマーサンダルも根強い人気ですが、今時の若者の足元を見ていると、ブラジル製のサンダルを履いている人もよく見かけます。 特に人気があると感じるのが、ブラジルのブランド、「Ipanema」(イパネマ)と「havaianas」(ハワイアナス)です。大きなショッピングモールが次々に完成している最近のヤンゴンで、新しいモールには必ずこの2つのブランドの店舗が入っています。また、ヤンゴンの原宿的存在のレーダンという街には、路面店もあります。どちらのブランドも、店構えもおしゃれで、他の靴屋さんとは明らかに違う雰囲気を醸し出しています。

伝統的なミャンマーサンダルが、高くても5000kyat(500円)くらいなのに対して、これらのブラジルサンダルは、飾りのないシンプルなタイプでも20000kyat(2000円)以上します。デザイン性が高いものだと40000kyat(4000円)以上するものもあり、物価の水準から考えると、かなり高級な部類です。

イパネマやハワイアナスは、日本でも買う事が出来ます。ミャンマーでの販売価格は、日本と同じくらいの値段か、ものによっては、日本で買う方が安い場合もあります。物価が安い国に進出しているからといって、価格を安くしているわけではないのです。 ブラジル国内ではそんなに値段が高いブランドではないと聞いた事がありますので、進出に際して、高級でおしゃれなイメージを打ち出し、「高くても欲しい!」と思われるようにしているのでしょう。 地球の裏側にある国からミャンマーに進出してきて、値段が高いのにも関わらず、若者に大人気なのを目の当たりにすると、商売人魂のようなものを感じてしまいます。

それに対して、日本はブラジルよりはミャンマーの近くにあるのに、携帯電話やファッション、化粧品、家電などの日本製品は、韓国製や中国製に押され気味で、思ったよりも人気がありません。 日本製品で文句なしに大人気なのは、トヨタや日産などの自動車だけ…といった印象です。 高機能でデザインも良い、大好きな日本製品、どうしたらもっとミャンマーで人気が出るかしら…と、他国製品に押され気味な様子を見るたびに、勝手にマーケティング担当者の気分で考え込んでいる私です。