Vol.11 ミャンマーレストラン事情

米と油のミャンマー料理

『ミャンマー料理』と聞いて、具体的なイメージを思い浮かべることのできる日本人は少ないのではないでしょうか。

代表的なミャンマー料理は、『ヒン』と言われる汁なしのカレーのようなものです。魚や肉を油と調味料で煮込んだもので、かなり濃いめの味付けになっており、それをご飯にかけていただきます。

ミャンマー料理の特徴は、とにかく油がたくさん使われているということです。
一般的なサラダ油の1Lボトルをイメージしてみてください。大量の天ぷらを揚げるような事がなければ、日本の家庭なら、かなりの期間持つのではないでしょうか。
しかし、ミャンマーの家庭では、1週間もしないうちに消費されてしまうそうです。1回の調理で、ボトルの3分の1を使うこともあるとか。油を使うのは豊かさの証で、油が少ないと貧しい食事と感じると、ミャンマー人に聞いた事があります。

食材と調味料の旨味が染み込んだ油も、ご飯にかけて食べるのがミャンマー流。
そんな油っこく濃い味のものと一緒に食べるのですから、ご飯の消費量もかなりのものです。
写真は、社員のお弁当を撮ったものですが、細い体の女性でも、お弁当箱にはご飯がぎっしり詰まっていて、1食で1合くらいは食べているように思います。

ミャンマーに来てしばらくしてから、近所にあるミャンマー料理屋で昼食をとるようになりました。しかし、日本人にとっては多すぎる油の量と、ついつい進んでしまう白飯に、お昼にミャンマー料理を食べると、ひどく胃もたれし、その日の夕食も、翌日の朝食も、下手すると翌日の昼食も食べられない…という事が何度かあり、懲りてしまいました。今では、いわゆるミャンマー料理は1カ月に1回くらいで良いかな?という感じです。

ミャンマーは多民族の国なので、それぞれの民族ごとに特徴のある料理がありますし、タイや中国、インドとも接しているのでそれらの国のレストランもたくさんあります。
そのため、一般的なミャンマー料理が体に合わない人でも、食べるものの選択肢はたくさんあります。

ミャンマーの民族の一つであるシャン族の料理は、油も控えめで日本人の口に合うので、最近はシャン料理を昼食に食べることが多いです。
また、ミャンマー料理の特徴の一つに、麺料理の種類の多さがあります。私のお気に入りは、ヤカイン地方の麺料理『ヤカインモンティ』です。魚の出汁が効いた辛いスープに、米の細麺が入っています。にんにくや玉ねぎ、パクチーに卵などがトッピングされていて、食べると元気が出てきます。日本でいうお酒を飲んだ後のラーメン感覚で、飲んだ後のシメにも最高です。

ビールにごはん、糖質パラダイス

ミャンマーでは、誕生日の人が周囲にご馳走する習慣があります。息子はいつも社員の皆さんに可愛がってもらっているので、1歳の誕生日をミャンマーで迎えるにあたって、何かご馳走したいな、と思っていました。
何が喜んでもらえるのかな、と考えていると、友人が「お誕生日や結婚式みたいなおめでたい時には、『ダンパウ』というインドのビリヤニみたいな料理を振る舞うんだよ」と教えてくれました。
社員に聞くと、徒歩圏内にもお店があるとのこと。まずは1人で偵察に行き、誕生日当日にパックで人数分をお持ち帰りしてきました。
ダンパウは、ターメリック入りのご飯と骨つきチキンをレーズンやカシューナッツと共に炊き込んだ料理です。チキンはホロっと崩れるくらい柔らかく、スパイシーで美味しいため、息子の誕生日以降、何度も通っています。
特筆すべきはやはりご飯の量です。持ち帰りにすると、パックに気前よくぎゅうぎゅうに詰めてくれるのです。この1パックを、私と夫で分けて食べて丁度良いくらいです。

ダンパウは、ビールにもよく合います。このダンパウ屋さんは、ソフトドリンクしか置いていないので、近くでビールを買って持ち込み、飲みながら食べるのが定番になりました。
(ミャンマーでは、お酒の持ち込みOKのお店が多く、よくレストランにウイスキーを持ち込んでいるのを見かけます。)

ダンパウのお供に最高の『ミャンマービール』は、ミャンマーで最も飲まれているビールで、国際的なコンクールでも入賞した事もあるビールです。かなりの糖分が入っているという噂で、ビールの缶を捨て忘れて置いておくと、蟻が缶に群らがっています。どれほど糖分が入っているのか、ちょっと想像したくないほどです。
大量のご飯とビールという、糖質制限をしている人が聞いたら卒倒しそうな、糖質だらけの至福の時間を過ごしています。

ミャンマー料理の功罪?

さて、若者はとてもスリムでスタイルの良いミャンマー人。しかし、中年以降は、お腹周りを中心にかなり体格が良くなってきます。
ミャンマー人の日々摂取する油と糖分の量を見ていると、中年になって太ってくるのも納得です。

私は、海外旅行の時は、現地を目一杯楽しむために、その土地の料理を食べたい!というこだわりがありました。また、朝は絶対に納豆と味噌汁とご飯がなくっちゃ!といった和食に対するこだわりも皆無だったので、ミャンマーで生活するにあたって、食事はそれほど苦労しないかしら?と考えていました。

しかし、その土地で生活するとなると、そんなに甘くはありませんでした。
ミャンマーに来たばかりの頃は、ミャンマー料理を見てもまったく食欲がわかず、むしろ匂いを嗅ぐと発酵したような調味料のにおいで食欲が失せる日々。一体何を食べて良いかも分からず、忙しさも相まってずいぶん痩せてしまいました。

そうして、最初は、まったく受け付けなかったミャンマー料理ですが、だんだんお気に入りの料理も増え、ミャンマー料理と共に飲むミャンマービールの美味しさにも目覚めてしまうと…私の体型にある変化が起こり始めました。
そうです、気がつくと、私の体型も少しづつ中年ミャンマー人に近づいてきてしまっているのです!油も糖分も控えめな、日本のヘルシーな食生活に慣れていた体には、ミャンマーの油と糖分は刺激が強過ぎたようで、その変化は目をみはるものがありました。
さすがにアラサーでこれはマズイ!と、最近ではミャンマービールより糖質が少ないという、タイガービールを飲む事にしている私なのでした。