Vol.10 魅惑のミャンマーネーム

ミャンマーネームいただきました!

ミャンマーの人は、外国人にミャンマーネームをプレゼントして、親しみをこめて呼ぶことがよくあるそうです。先日、私もミャンマーネームをもらう運びとなりました。私にミャンマーネームをプレゼントしてくれたのは、ミャンマー語を教えてくれる家庭教師の先生。
私がもらったミャンマーネームは、『HninPhyu(ニンピュー)』という名前でした。
ノートの表紙に書いてあるミャンマー文字の上段がその名前です。(下段には『ミャンマー語の勉強』と書いてあります。)

『Hnin(ニン)』は『雪』、『Phyu(ピュー)』は『白い』という意味で、私の肌の色がとても白いので、そのようにつけてくれたそうです。
これはスノーホワイト、白雪姫と同じ由来の名前ではありませんか!素敵すぎて、なんだかおそれ多いですが、ありがたくいただきました。
この『ニンピュー』という名前は、『ニン』が名字で、『ピュー』が名前というわけではありません。ミャンマーの人々は名字を持たないため、『ニンピュー』というのは、『ニンピュー』というひと続きで完全な名前となります。

日本で有名なミャンマー人といえば、先の選挙で大勝したNLDの党首アウンサンスーチーさんがいます。アウンサンスーチーさんは、ミャンマーの英雄アウンサン将軍の娘です。
日本のニュースなどでは、『スーチー氏』と省略して呼ばれることも多いため、『アウンサン』が名字で、『スーチー』が名前のように感じてしまいますが、お父さんの名前を彼女の名前の一部としてつけたというだけで、『アウンサンスーチー』でひとつの名前です。

アウンサンスーチーさんの場合は、お父さんの名前を一部もらっていますが、名前のつけ方には家族でも法則性がないことがほとんどです。同名の人も多いため、契約書などの公的書類には、区別のために父親の名前を書く欄があるそうです。
また、クレジットカードの登録や航空券の予約など、姓と名の入力が必要なシーンでは、苦肉の策で、名前の適当なところで分けて入力したりするそうです。
とある航空会社の航空券は、ウェブでの予約ができず、電話をして予約をしたという話をきいたことがあります。

ミャンマーネームの発音と表記

ミャンマー人の名前をアルファベットで表現する時は、発音の区切りごとに分けて、その区切りの初めの文字は大文字で表記するのが一般的です。
例えば、アウンサンスーチーさんであれば、『AungSanSuuKyi』と表記されます。

同じ『スー』という発音でも『Su』ではなく『Suu』と表記したり、『Kyi』というスペルで『チー』と発音したりと、表記のスペル・発音も独特です。
例えば、ミャンマーの俳優で、『ドゥエー』という名前の人がいます。彼の場合は、発音の区切りはひとつだけなので、『Dway』と表記します。一方、女優では、『インドラーチョーズィン』という人がいて、彼女の場合は発音の区切りは3つなので、『EaindraKyawZin』と表記します。
このように、発音の区切りをとってみても、ひとつだけの人がいたり、4つや5つの人がいたりするのです。『山田 太郎』さん、『佐藤 花子』さんといった、名字と名前に慣れている日本人の私にとっては、表記だけを見ると、これが人の名前だと、すぐに分からないこともありました。

アルファベット表記の名前を見ても、どう発音するのかが分からない、発音してみても大体間違っている、ということが多かったです。
今ではすっかり慣れた…と言いたいところですが、初対面のミャンマー人の名前は、未だに発音できないことが多く、数回聞き直して、お経のようにブツブツ唱えて覚えています。

自由奔放!ミャンマーネーム

さて、カフェなどで店員さんが名札をつけているのを見ると、ミャンマーなのに洋風な名前に出くわすことがあります。例えば『Jack』などです。
ミャンマーネームといえば、こんな名前…というイメージとは、あまりに違う名前なので、「これは本当の名前ですか?」と聞いてみると、「本当の名前です。私はクリスチャンなので」という答えが返ってきました。

仏教徒が最も多いミャンマーですが、実は多民族多宗教の国という側面もあり、クリスチャンやイスラム教徒、ヒンズー教徒など多くの宗教を持った人がいますし、多くの民族が共存しています。クリスチャンの祝日であるクリスマス、少数民族のお正月、ヒンズー教徒の祝日なども、国民の祝日として休みに定められているほどです。
洋風の名前の人は全員クリスチャンかというと、それもまた違っていて、ニックネームの場合もあります。私たちのミャンマー語の先生はNicoleさんですが、これは本名ではなくて、自分でつけたニックネームだそうです。レゲエが好きなので洋風のニックネームをつけているそうで、誰かに名乗る時はニックネームの方を名乗っています。

Facebookも、ニックネームを登録している人が多く、ミャンマー人なのに、日本語を勉強しているから『ひかり』さんだったり、日本のあじさいが好きなので『AjiSai』さんだったり、K-POPが好きな人は韓国語の名前で登録していたりと様々です。
なんとも自由奔放なミャンマーネームです。それはそのまま、ミャンマーという国の持つ多様性や包容力と通じているように感じます。

例えば、日本で、私の息子に『David』と名前をつけたら、周囲の人々はきっと驚くでしょう。「お父さんは外国の人か?」とか「今、流行りのキラキラネームか?」と聞かれると思います。
ミャンマーなら、「親はクリスチャンかな?」「ニックネームかな?」と思われるくらいで、問題なく受け入れられるでしょう。特に驚かれたり、質問されたりすることもないかもしれませんね。